『魔法使いの弟子』
さぁてと、この「惑星」最近どうも良くないしなぁ〜。どうしたもんだろう?
目に余る出来事ばっかり続いてるし、自分の事しか考えないで愚かな事を
平気な顔でやってる人間がやたらと増えてきたみたいだし、、、。
大体、ボクがこの「惑星」に自転の魔法をかけて太陽の周りを周回するように
したのは、ここに棲んでる人間全体に太陽のプラスエネルギーを与えて、
そこで穀物を栽培し収穫を分かち合い、それぞれが誰かのためを思い考え、
争わない心、和合する心を培って欲しかったためなのに・・・
それなのに、最近のここの人間たちときたら、、、。
ボクは他にもこの「惑星」にいろんな魔法をかけたんだけど、どれもこれも
全てここに棲む人間たちを思ってやったことなんだ。
でも、どうやら魔法が効き過ぎて豊かにし過ぎちゃったみたいだな。
また魔法学校の校長先生におこられちゃうかなぁ〜。
この前の流星群に魔法をかけた時もやり過ぎちゃって予定の3倍の量を
降らせちゃったんだ。あの時もひどく叱られたし、全部この「惑星」のために
やったことなのに、どうも上手くいかないや。
どうにも嫌な「惑星」になってきちゃったから罰でも与えてやろうかと
思ったけど、残念ながらボクら魔法使いは、悪い事に魔法を使っちゃいけないんだ。
このことは「魔法学校高等科・生徒手帳」の一番最初にちゃんと書かれているし、
これを破った時の罰則が一番厳しくて、月のクレーターの掃除を300魔法時間
やらされるんだ。えっ?なんで月のクレーターの掃除かって?
説明するのが遅くなっちゃったけど、ボクらは月に住んでいるんだ。
この「惑星」をずっと見守るためにね。で、クレーターの掃除というのは実は、
大きな声じゃ言えないけど、このクレーターから魔法のビームが「惑星」に向かって
発射されているんだよ。100%純粋な魔法ならなんの問題もないんだけど、ボクら
みたいな魔法使いの弟子が発射すると、クレーターに不純物がこびりつくんだ。
これが結構厄介で力一杯こすらないと取れないんだ。
で、校則を守らないとこの罰が待ってる、、、っていうわけなんだ。
でもその罰を受けてもいいからこの「惑星」の悪い部分をなんとか魔法で綺麗にしたいんだ。
きっとここに棲んでる良い心を持った人たちだってそう思ってると信じてるんだけど、
、、、どうかなぁ。。。
ある時、校長先生がこんな話をしてくれた事がある。
「我々魔法使いには、できない事はない。しかし、その使い道をよ〜く考えないと
結果的に悪いものを残す事になる。一時の喜びを与える事は容易いが、その者たちが
自分の力で変えていこうとする気持ちがない限り、それは結果的に悪を作る事になる。
欲を満たす事に魔法を用いてはならん。欲を制する気持ちにさせる魔法を使わねばいかんのじゃ」
その時はなんだかよく分からなかったけど、今この「惑星」を眺めていると
それが分かってきたような気がする。食欲、物欲、財欲、名誉欲、、、こんな欲望がこの惑星を
取り巻いていて、しかもその全てが自分の為だけだときてるから始末に悪い。
ちょっと前だけど、ある小さな国の王様がとっても欲ばりで目に余る事ばかりしていたんだ。
で、いたずらで鏡に魔法をかけておいた。(あっ、これは校長先生には内緒だからネ)
その王様が鏡を見るたびに人相を貧しくしていくっていう魔法だったんだけどここの魔法
モニターで見ていて大笑いしちゃった。貧しい人相になると、それまで持っていた贅沢な服が
似合わなくなって(本人が魔法でそう思っているだけ)何を着ても服が浮いちゃって結局、
家来たちに全部あげちゃったんだ。勿論もらった家来たちは、大喜び。
・・・でも、結局は失敗だった。
その家来たち、自分たちの欲しい物を買う為に、王様からもらった服を全部売っちゃったんだ。
その小さな王様の国はとても貧富の差が大きかったんだけど、結局は何も変わらなかった。
この話を父親にしたら「まぁ、いたずらに魔法を使った事はいけない事だが、これはお前にも
いい勉強になったはずだ。校長には黙っててやるが、魔法というのは不幸を呼び込む危険もある。
良い結果を生むために使ったとしても必ず上手くいくとは限らん。それだけ難しいものなんだ」
と言っていた。その通りだと納得した。
学校でいくらトップの成績でも、実際に役立てようとする時にはいろんな経験が必要なんだよな。
そうか!!今までボクはあまりにこの「惑星」にこだわり過ぎていたんだ。いつも魔法をどう
使えばいいかって事ばかり考えてた。良くしていくのも悪くするのも結局はそこに暮らす人間たちが
努力をしなければなんの解決にもならないんだ。よしっ!!ちょっと距離を置こう。
え〜〜〜っとあの魔法はどこに書いてあったかなぁ〜・・・
あったあったコレだ!!
ボクは、ある魔法を思いついた。なんだよやっぱり魔法に頼るんじゃないかって思ってる?
まぁ、これからボクがする事をよく見ててよ。ボクはその「惑星」に向かって魔法をかけた。
月のクレーターからは80%の純度の魔法がその「惑星」に発射された。
ボクの考えはこうだ。
月が「惑星」に魔法を送り続けている時が満月なんだ。だからこの「惑星」は今までは
いつも満月だった。それはボクがずっと魔法を送り続けていたからなんだけど、この魔法に
強弱をつける事で「惑星」からは月が満ち欠けしているように見せたんだ。
満月の夜→魔法の力が100%
月が見えない時は魔法の力が0
真っ暗な夜に歩こうと思っても道が分からなければ歩けないだろ?そこで人間はいろいろと方法を
考えるはずだと読んだんだ。ボクはこの「人間の知恵」に賭けてみようと思ったんだよ。
今のところ良くなったり悪くなったりを繰り返しているけど、それでも良い事を思う人間が少しづつ
増えてきているように思うんだけど。
「まだまだじゃの」って校長先生には言われちゃったけどね。
おっと、今日は満月の日だったんだ。。。準備があるからボクはこれで。
えっ?それって地球のことかって?
いえいえ、この「惑星」はあなたが住んでる地球とは違うよ。だってあなたの住んでる地球は、
お互いに助け合い、争う心もなくて、豊かでとてもいい惑星だと聞いてるんだけど。。。違うのかい?
---「魔法使いの弟子」おわり
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